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2022年4月12日 火曜日
歯医者さんの歴史
こんにちは、歯科医師の齋藤と申します。
歯科治療をしていると「最近の歯医者さんは痛くないんですね。」という嬉しい言葉を患者さんからいただきます。
私が歯科医師になってまだ10年程度ですが、年を追うごとに新しい治療技術や器材が出てきています。
しかし先ほどの患者さんの言葉からも、昔の歯医者は痛かった、怖かったというイメージがあるのも事実です。
昔の歯科治療、はたまた歯科医師という職業が存在する以前の治療はどのようなものだったのか気なりますね。
そこで歯科治療の歴史について、あくまで”インターネット上の情報を元に”ですが調べてみました。
どうやらピエール・フォシャールという人物がある本を出版するまで、色々な人物が試行錯誤して治療を行っていたようです…。
まず200万年前のアウストラロピテクスというヒト科の哺乳類の化石から虫歯の痕跡が見つかっています。
記録がある歯科治療の始まりは紀元前3000年、古代エジプト文明の書物に歯の痛みに対する薬物療法の記載があります。
何百年もの間、ヒトは歯の痛みに苦しめられていたのでしょう。そして古代エジプト人はそれに初めて向き合ったのですね。
さらに古代エジプトの王であるファラオは歯を失った部分に、現代でいうブリッジのような代替物を入れていたそうです。
その事実も驚きですが、歯を失った原因も気になりますね。痛くて抜いてもらったのでしょうか?やはり薬物療法だけでは難しかったのでしょう…。
西暦300年頃の古代ローマ帝国の書物に、虫歯はこすり合わせる(削る)必要がある記載があります。
そして衝撃だったのはこの時点で矯正治療や歯の漂白に関する記録もあるということです。
古代ローマの遺跡からは絵画、彫刻、ガラス工芸品といった美術作品も多く見つかっていることから、古代ローマ人の美意識の高さが覗えますね。
しかし当時の技術でどの程度の効果があったのか…非常に気になります。
中世(西暦500~1500年頃)には歯の清掃、歯石除去、歯の再植術、牛の骨で作った人工歯による治療方法が当時の医学書に記載されています。
現代で行われる治療の先駆けと言えるのでしょうか。ただ当時は専門家が治療を行うことは珍しく、一般的には露天商などが屋外で痛んだ歯を抜いていたそうです。
清潔な歯科医院での治療が当たり前にとなっている現代日本と比較すると、ちょっと怖いですね…(笑)
そして1728年、フランス人のピエール・フォシャールという医師が世界初の歯科治療専門の書籍『外科歯科医、もしくは歯の概論』を出版します。
当時は医師と歯科医師は分けられておらず、歯を専門とする医師という立場だったようです。
本の内容は歯の構造、歯の神経を取る方法や歯周病の治療方法などでした。
なんとこの本は日本語に翻訳されたものが現在でも手に入ります!機会があれば是非読んでみたいです。
こうして主にヨーロッパに歯科治療の方法が歯学として広まっていきましたが、日本へそれが伝わるのは1870年代、明治時代に入ってからです。
詳細な術式などは分かりませんでしたが、どうやら歯を削る、人工的な歯を入れるといった基本的なことはあまり変わっていないですね。
しかし今では当たり前に使用する道具や器材(みなさんが歯医者さんで座る自動で倒れる椅子など)がない時代ですから、治療する側もされる側も大変だったでしょう。
特に気になったのは、麻酔というものが開発されるのは1800年代に入ってからだそうです。
うーん…、昔の人は本当に大変だったでしょうね…。
今度は近代に入ってからの歯科治療についても調べて行きたいと思います!
ピエール・フォシャールの肖像画
エジプトのブリッジ
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